問1 市販されている肉や牛乳は食べても安全なのですか。
骨付きカルビ・ロース・ヒレ・サガリは、食べても大丈夫ですか。

1 家畜衛生の国際機関である国際獣疫事務局(OIE)によれば、脳、眼、脊髄、回腸遠位部(小腸の最後の部分)が危険部位として指定されています。

 これらの部位を含まない食肉やホルモン、牛乳、乳製品などは安全と考えられています。
 また、BSEが年間数万頭単位で発生し、現在(2001年)でも数百頭発生している英国(グレートブリテン)や数頭から百頭を越える発生があるフランス、イタリア、ドイツ、オランダなどのEU諸国では、牛乳・乳製品については全く安全であるとしています。

これらのことから、現在もこれらの国々から大量のチーズなどが輸出され、各国で消費されており、世界的にもBSEに関する牛乳・乳製品の安全性は広く認められています。

(参考)
1 .BSE 低発生国又は地域とは、過去12ヶ月のBSE 発生率が、国内の24 ヶ月齢以上の牛で百万頭あたり1件以上100件以下である国又は地域等をいう(日本:肉用牛80万5千頭、乳用牛122 万1千頭。)

2 .回腸遠位端とは、回腸(全長約40m )のうち、盲腸からの結合部から約1mの部分をいう。

問2 牛海綿状脳症(BSE )とは、どのような病気ですか。BSE の原因は何ですか。 

BSE(bovine spongiform encephalopathy)は、1986 年に英国で初めて報告された牛の病気です。BSE にかかった牛の脳の神経細胞は空胞化し、脳の組織が海綿状(スポンジ状)となることから、牛海綿状脳症と名付けられました。2 〜8 年(通常2 〜5 年)の潜伏期間の後、行動異常、運動失調などの神経症状を示し、発病後2 週間から6 ヶ月の経過を経て死に至ります。

ウイルスより小さな感染因子であるプリオンを原因とする説が有力です。プリオンの主要な構成成分である異常プリオン蛋白質は、正常プリオン蛋白質が異常化したものです。
 BSE に感染した牛の脳、脊髄、リンパ組織等を含む飼料の摂取により経口感染するといわれています。

問3 BSE は、ヒトや牛以外の家畜には感染しないのですか。
 クロイツフェルト・ヤコブ病との関連はあるのですか

1 ヒトの海綿状脳症としては、クールー、クロイツフェルト・ヤコブ病等がありますが、このうち変異型のクロイツフェルト・ヤコブ病が、BSE との関連を指摘されています。

2 英国における変異型クロイツフェルト・ヤコブ病については、1995 年から2001 年までに100 余名の死亡が確認されているところでありますが、英国における感染の危険度は、例えばインフルエンザ感染による死亡の危険度と比較すると1000 分の1 となっており、国際獣疫事務局(OIE )の基準により、BSE の発生国からの輸入にあたり除外すべき部位として指定されている脳や眼を習慣的に食べたことが原因ではないかと考えられます

3 なお、日本においては、1995 年から2000 年までの6 年間で、変異型ではないクロイツフェルト・ヤコブ病で約100 名/年、アルツハイマー病で500 〜700 名/年が死亡しています。

4 また、病原体の経口摂取によって牛以外の家畜がBSE に感染したという事例は報告されていませんが、動物園で飼育されているネコ科及び牛科の動物での感染例が報告されています。なお、めん羊、山羊、ミンク等でも類似の海綿状脳症が知られていますが、これらはBSE とは異なる病気とされています。

(参考)

・クールーは、ニューギニア東部高地の食人風習を持つフォア族にかつて発生していた小脳失調と振戦をともなう疾病で、3 〜9 ヶ月で死亡。

・クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD )は痴呆を主症状とする予後不良の神経性疾患で、2 〜8 ヶ月で死亡。

・アルツハイマー病は、脳の組織が縮んでいく病気で、原因はまだ十分解明されていません。脳には、梗塞などはみられませんが、司令塔の働きをする大脳皮質に障害がみられる疾患で、全痴呆患者の中の約30%程度がアルツハイマー型痴呆。

(厚生労働省)
1996年3月20日、英国の海綿状脳症諮問委員会(Spongifom Encephalopathy Advisory Committee(SEAC))は、10名のvCJDを確認し、これらはすべて1994年又は1995年に発症したもので、従来のCJDと比較して、
(1)若年層で発生すること、
(2)発症して死亡するまでの平均期間が6ヶ月から13ヶ月に延長していること、
(3)脳波が異なること、
(4)脳の病変部に広範にプリオン・プラークが認められること

など従来のCJDとは異なる特徴を有するとしました。

疫学的研究及び症例研究では、vCJDの症例間の共通な危険因子は確認されませんでしたが、S EACによると、9名は過去10年間に牛肉を食べており、1名は91年以降、菜食主義者でした。

SEACは、BSEとvCJDの間に直接的な科学的証拠はないが、確度の高い選択肢もなく、最も適当な説明としては、患者の発生は1989年の特定の内臓(Specified BovineOffal)の使用禁止前にこれらを食べたことに関連があるとしました。

山内一也東京大学名誉教授による解説(日本獣医学会)

問4 ペットフードの一部に肉骨粉が使用されていると聞きましたが、ペットに食べさせても大丈夫ですか。

 BSE(牛海綿状脳症)と同様、動物の脳にスポンジ状の変化を起こし、原因がプリオンによって起こる伝染性海綿状脳症としては、めん羊や山羊のスクレイピー、ミンク(伝染性ミンク脳症)、ネコ(海綿脳症)、シカやエルク(ヘラジカ)の慢性消耗性疾患(chronic wasting disease)がありますが、反すう動物由来の肉骨粉等を反すう動物以外の動物(イヌ)に給与することは、種の壁があるため、感染を起こすことはないとされています。
 また、イヌにプリオン病が発生したことはありません。

  • 問5 BSEはどうすれば調べられますか。
  • 生前の症状(歩行異常等の神経症状)と死後に採取した脳の病気(海綿状変成)を顕微鏡検査により確認する方法で行われています。
     また、脳組織中の異常プリオンたんぱく質を検出するための各種検査法も開発されています。

  • 問6 牛を立たせてみただけで、BSEかどうかが判るのでしょうか。
  •  BSEに感染した牛は、2〜8年という長い潜伏期間のあと、音や光に対し神経過敏になったり、頭を低くして柵などに押しつける動作を繰り返すようになります。また、歩き方がおかしかったり、腰を抜かしたような状態になりますので、症状があるなしで一定の判断がつきます。

  • 問7 臨床獣医師が診断を間違うことはないのでしょうか。
    家畜保健衛生所でチェックはしないのですか。
  • 神経症状を示す牛の病気には、BSE以外にも多くの疾病がありますが、臨床検査や血液検査により、明らかにBSEと区別できる病気がたくさんあります。
  • 臨床獣医師が診療を行い、完全にBSEを否定できない異常牛については、家畜保健衛生所に運び込まれ、検査を行うこととなっておりますので、原因については、きちんと診断される体制を整備しております。