品種改良というのは、新しい品種を作ることです。なぜ、新しい品種をつくるのでしょうか。それは、いままでの品種よりもおいしくて、寒さや病気に強く、栽培するのが楽な品種を作ろうとしているのです。
北海道のイネの品種改良で、大事なことは、北海道でもちゃんとみのるような、早生(わせ)で、冷害に強く、おいしい品種を作ることです。とくに、北海道のお米は本州のお米にくらべておいしくないといわれてきましたので、食味の改良がとても大事です。
実際に品種を作るには、まず、性質が違う品種同士をかけあわせ、その子ども、孫、ひ孫たちを作り出して、その中から、性質のすぐれたものを選び出します。これを、選抜(せんばつ)といいます。
そして、選抜されたものを、さらにいろんなテストにかけます。このテストには、寒さに強いか弱いかを調べる「耐冷性(たいれいせい)検定試験」、いもち病という病気に対する抵抗性を調べる「いもち病抵抗性(ていこうせい)検定試験」、お米がどれぐらいとれるかを調べる「生産力(せいさんりょく)検定試験」、おいしいかどうかを調べる「食味(しょくみ)テスト」、そして、北海道の品種として、ふさわしいかどうかを決定する「奨励(しょうれい)品種決定試験」など、さまざまなテストに合格して、はじめて品種になるのです。
たとえば、「きらら397」は、「しまひかり」と「キタアケ」という、ふたつの品種をかけあわせ、その子どもたちの中からえらびだされました。「しまひかり」は、おいしいが寒さに弱いというとくちょうがありました。この品種はせっかく、おいしいのに寒さに弱いために、北海道の南でしかつくれませんでした。それにたいして、「キタアケ」は、あまりおいしくありませんが、寒さには強い品種でした。そこで、ふたつの品種の良いところをくみあわせて、作り出したのが、寒さに強く、おいしい「きらら397」というわけです。
「きらら397」の場合は、かけあわせてから、品種ができるまで、8年かかりました。8年というと、ずいぶん長いとおもうでしょうが、これでも昔にくらべると3〜4年も短くなりました。この、品種ができるまでの時間を短くするために、温室や鹿児島県、沖縄県で、秋や冬の間もイネを育ててもらって、一年間に3回もイネを作っています。
最近では、イネの花粉を試験管で育てて苗を作る「葯培養(やくばいよう)」というバイオテクノロジーも使っています。これについては、むずかしいので高校か大学で勉強してください。簡単にいうと、植物では、どんな細胞からでも、またもとの植物が再生するというふしぎな性質があるのですが、花粉も細胞の一種なので、うまく試験管の中で育てると、なんとイネの苗ができるのです。