そらまめ 空豆 蚕豆

 

1.ソラマメて、野菜、それとも穀類

 枝豆と共に、日本人、特に、左党の方々に人気のあるソラマメは、古くから人々に親しまれて来ました。酒の肴として・・・。一説には、古代スイス湖沼民(水上に家屋を経て生活していた人々)も食べていたと言われています。ただし、ビールのつまみであったか、否かは、知りません。

一般的には大粒種(百粒の重さが110~125g)と小粒種(百粒の重さが30~120g)があり、日本には大粒種の方がシルクロードを通って伝来しました。なお、大粒のものはお多福豆と呼ばれ、かっては結構、全国的に栽培されていましたが、今では多くが輸入品です。

 利用の仕方は、1.野菜(レグメス・ベジタブル)とし、青まめの頃に収穫し、油炒めにしたり、単独で塩ゆでにして食べるほか、2.乾燥豆を穀類として、例えば、フライビーンズや炒り豆、煮豆や菓子類・味噌の材料として利用されています。なお、ヨーロッパやアメリカでのソラマメは、人より家畜に愛されており、主に飼料作物として取り扱われています。家畜からお裾分けされた極一部が人間用のスープの材料として使われています。 

 ところで現在、野菜用として売られているソラマメの殆どが大粒種となり、子実の緑も濃い品種が作り出され、塩ゆでなど調理した時の見映えがよくなりました。今も昔も、日本人て料理をまず、目で食べるのですね。なお、昔から「お多福豆」「一寸豆」などと呼ばれているグループは、この大粒種に入ります。

 以前は、早出し用には小~中粒種、その後は大粒種と分かれ、豆の大きさにも変化がみられました。もちろん莢の形や大きさにも変化があり、細長い莢に7~8粒の子実が入っているものから、ずんぐりタイプの莢に平均2粒の子実しか入っていないもの(一寸豆)までありました。現在でも地方へ行くと、小~中粒の在来種が見られることもあります。お目に掛かれた時は、まさに幸運。消え去るものの哀しみと共に、その風味をユックリ楽しんで下さい。

 穀類として利用される完熟乾燥種子も、その子実の形や大きさ、色彩に多くの変化が見られ、なかには一円玉より小型のものもあれば、緑色や赤色のもの、炒めると種子が簡単にはじけるものなど、珍しい種類もあります。

 

2.ソラマメの履歴書

1 名前の由来

 ソラマメを漢字では空豆とか蚕豆と書きます。莢(子実)が直立するように空に向かって伸びるために空豆、また蚕(かいこ)が繭(まゆ)を作る頃に美味しくなるため蚕豆と書くとも、莢の形が蚕に似ているためとも言われています。また、4~5月頃に旬を迎えることから、四月豆あるいは五月豆とも言います。黒く着色した煮豆を於多福豆とも呼びます。これ以外にも日本各地には色々な呼び名が残っています。例えば、大和(奈良県)で多く作られたので大和豆とも言い、西国では唐豆と呼び、また夏豆、がん豆などの呼び名もあります。名前にも地方色が感じられるものですね。

 

2 ソラマメの古里

ソラマメは祖先種も原産地も、まだはっきりしていませんが、野生種と思われるものが北アフリカからカスピ海南岸付近にかけて見つかっており、北アフリカや南西アジアが古里でないかと、考えられています。特に、肥沃な三日月地帯と呼ばれるチグリス・ユーフラテス川流域で新石器時代に栽培化され、エジプトでも4,000年ほど前から栽培されており、ピラミッド遺跡からソラマメが発見されています。

 地中海地方でもかなり古くから普及しており、古代ギリシアでの栽培記録や有名なトロイの遺跡から化石化したソラマメが見つかっています。恐らく盲目の詩人・ホメロスや彼の語る物語に登場する英雄達もソラマメを食べていたのでしょう。古代ローマでも、乱行と放蕩の末に18才で殺された少年皇帝・ヘリオガバルスが琥珀入りのソラマメを好んで食べたとの、記録があります。この様に、ギリシャ・ローマ時代から、人々の食卓にソラマメは登っていたのです。

 一方、中国へは2,000年ぐらい前に、中央アジア、シルクロード経由で伝わったとの説もありますが、現在の大粒種のソラマメはローマ時代の後期(6~7世紀)

に出現しており、中国へは12世紀末から13世紀頃に伝わった考える方が妥当でしょう。

 日本への伝来は、奈良時代・聖武天皇の頃(729~749年)、インドの僧・仙那が中国から来日した折り、名僧・行基にソラマメを贈ったとの伝説があります。

行基はこれを兵庫県武庫村の岡治氏に試作させたそうです。

 しかし、中国における大粒種の栽培は、宗の時代(979~1270年)に入って、主に四川方面で栽培が始まりました。僧・仙那が中国経由で来たのであれば、当然中国にもその種子がもたらされているはずですから、少し時代が合いませんね。もっとも歴史上、こんな話は別に珍しくもありませんが。

 実際に記録登場するのは、江戸時代の「多識篇(1631年)」で、初めて蚕豆(ソラマメ)の名が出てきます。また、『農業全書』には「百殻に先立って熟し、青き時から莢ながら煮て菓子にもなり、また麦より先にできるゆえ、飢饉年にとりわけ助けとなる。また、麦と合わせて飯にしてよろし、または粉にして、餅に作り食するもよし」と、その有用性が述べられています。なお、18世紀初めには「近年外国から渡来したので、西国ではこれを唐豆(とうまめ)と呼ぶ」との記述があります。さらに明治初期に多くのヨーロッパ、アメリカ系の品種も導入・試作され、これらの中から現在の品種の基礎が作りだされました。

 

3.ソラマメの特性と旬・選ぶポイント

1 その特性と癖

 肥沃な三日月地帯で生まれたソラマメは、原産地の南西アジアから、1 東進して東アジアへ達した大粒種は、中国、日本の秋播型と中国南部の春播型の二タイプに分かれ、2 西進した小粒種は地中海地方からスペイン、北アフリカのモロツコなどの秋播型とアルプスを越えた北欧の春播型に分かれ、世界に広がっています。

 ソラマメはマメ科ソラマメ属の越年生草本です。私は、人にからむ癖を持つ人を、「エンドウさん」なんて呼んでいますが、親戚のエンドウやインゲンマメなどが巻ひげを出して他にからみつく性質があるのに対して、ソラマメはからみません。こんなチョツトした所にも、勘違いならぬ、豆違いがあります。ところで、

貴女はエンドウさん、それともソラマメタイプ?。

 茎は直立性で、株元から数本~十数本分かれて出ます。草丈は矮性系で30cm内外、高性系で150cmぐらいです。まさに、小人と巨人の違いです。日本で栽培されている生食用品種は殆どが高性系です。茎は中空で方形、その色は淡緑色です。葉は互生で、短い葉柄があり、羽状の複葉で、各小葉は無柄で卵形~楕円形、葉色は淡緑色です。

 花はマメ類の中では大きく、蝶の形をし、茎と葉の間、葉腋と言いますが、に着きます。その色は白または淡紅、淡紫色で、中央の花弁に暗黒色の条斑があります。莢は扁平で長楕円形、4~18cmで、中に1~5個の種子があります。種子の大きさは品種により異なり、小粒系は15mm×12mm、大粒系は30mm×25mm程度です。その形は腎臓形で扁平、種皮色は最初は淡緑ですが、成熟が進に連れ赤褐色となります。品種によっては褐色、黒色となるものもあります。ヘソ部は大きく目立ち、最初は緑、成熟がすすむと黒色となります。

 ソラマメは生育適温が16~20℃と狭く、20度を超えると生育が抑えられます。一般的には耐寒性・耐暑性とも劣りますが、幼苗期には耐寒性があります。むしろ、その頃一度低温に遭わないと、花芽分化(花の基が出来ること)・開花・結実しない性質があります。

 すわなち、催芽(芽を出した)種子もしくは幼植物体が、一定期間以上低温に遭わないと花芽分化・開花・結実しません。ソラマメは寒さに遭遇し、その後、温かくなることにより、冬が去り、春の到来を知り、子孫を残すために花芽を作り始めるのです。多くの植物がこの様な体内時計・バイオリズムを持っています。

 例えば、10月に種を播き、越冬して春~初夏に収穫する秋まき春どり(普通)栽培では、冬季に十分寒さに遭い、その後、暖かくなることにより、春の到来を知り、花芽分化を始めるるのです。しかし、播種期の早い春まき夏どり栽培や夏まき冬どり栽培(抑制及び早熟栽培)では、低温に遭わなかったり、低温が足らなかったりして、開花・結実が不良になります。このため、種子を一昼夜浸水し、2~3mm幼根の出たものを低温処理(3~5度)してから播きます。言うならば冬を越したと、ソラマメに錯覚?させ、騙すわけです。処理期間は早生品種(小粒)で2週間、中生品種(中粒)で3週間、晩生品種(大粒)で4週間ぐらいです。

 この様な、ソラマメを騙す技術の開発によって、最も一般的な栽培、幼植物を冬の低温に遭遇せさる「秋まき春どり」栽培以外に、暖地での抑制栽培(夏まき晩秋・冬どり)や寒地での春まき夏どり栽培などか広がりました。この様な作型(何時、種を蒔き、何時、収穫するか)の組合せで、今では10月中旬から翌年の8月まで続けて生産できるようになりました。

 ところで、ソラマメは生育が進み、茎葉が伸長するにつれて、耐寒性が落ち、出蕾期以降は霜害を受け易くなります。また、耐乾性・耐湿性も劣るので、排水の良い水田の跡作に適します。一方、ソラマメは連作を嫌い、同じ畑で続けて作ると、病気などにより、生育が思わしくありません。さらに、風の害を受け易い作物でもあります。チョツト気むずかしい誰かさんに似ていますね。

 

2 旬と選ぶポイント

 生食用ソラマメの旬は一般的には4~6月、冷涼地の7月のソラマメも旬と見なしてもよいでしょう。実際に、東京などの市場へ出回るのは5~6月がピークですが、ソラマメの旬前線は桜前線より2カ月程遅れて北上します。

 まず、3・4月は暖地・鹿児島のソラマメが旬、次いで、4月下旬~5月にかけては愛媛・香川などの中間地帯、5月~6月上旬にかけては関東の平野部・千葉、茨城産が旬で、6月~7月は寒冷地もの(宮城産)が旬です。

 さて、生食用のソラマメは新鮮さが命です。収穫する時期が早過ぎたり(未熟)、遅過ぎたり(過熟)すると、食味が著しく劣りますが、例え、適期に収穫されたものでも、1日おくと5%以上もの水分が失われてしまいます。それに伴い美味しさの主成分・遊離の糖やアミノ酸も減少します。ソラマメは出来るだけ新鮮なものを選び、買って来たら、出来るだけ早く調理することが、美味しく食べるコツです。収穫後時間の経過とともに、品質や食味が急速に落ちて行くソラマメは、言うなれば命を食べています。まさに、冷蔵庫でなく胃袋に貯蔵するタイプの野菜です。

 選ぶポイントは、1 莢つきのものは、莢の色がポイント。緑色で艶のあるものを選びましょう。ところで、ソラマメの莢は、緑色の外層部と分厚い白緑色の海綿状の内層部から成り立ち、その中に子実が含まれています。その外層部の表面に艷がなく、サヤを押さえた時に中の子実を直接指先に感じるようなものは、海綿状の内層部が水分を失って薄くなり、子実の表皮も水分が奪われて固くなっている証拠です。この様なソラマメは避けましょう。

 また、ソラマメの莢には、3・4~ジオキシ・フェニルアラニンと言う物質が含まれており、これは空気に曝されていると、酸化し黒色化します。莢が黒くなっているものは鮮度が悪い証拠です。店屋さんに義理のある人は、どうぞこんなソラマメを買って上げて下さい。

 2 既に莢から出してある、剥き実のもありますが、実はソラマメに豊富なビタミンB群は、紫外線などに当たると分解されやすい性質があります。出来るだけ莢つきを求めた方がよいです。なお、剥き実の場合も子実の表皮に艷があって、瑞々しさの感じられるものを選びましょう。ところで、莢出しは調理直前にしましょう。早々に莢出しをすると、傷みが早く、豆が固くなります。

 ソラマメは胃袋貯蔵型野菜ですが、どうしても、保存すると言うならば、冷暗所(野菜ボックス)で保存します。でも本当は、わが家の胃袋で貯蔵し、足りない時は、お隣胃袋を借りた方が望ましいですね。

 

4.生産と流通

 ソラマメは温帯地方を中心に冬作のマメとして、世界で約400万トン(乾燥子実)が生産されています。最も栽培の盛んな国は中国で、全生産量の約6割を占めています。恐らくソラマメを一番食べているのは中国人と言えるでしょう。もっとも中国でも、北部や南部地方での栽培は比較的少なく、どちらかと言えば中部地方でよく作られています。

 日本でも一時は4万haも栽培面積がありましたが、最近では、1,000ha程度の栽培面積で、1,000t程度の生産量に留まり、栽培が消え去りつつある作物の一つです。生産量は鹿児島県が圧倒的に多く、全体の30%程度を占めています。第2位は千葉県(20%弱)で、香川(10%程度)、宮城(10%弱)、愛媛(8%弱)と続きます。東京市場へのソラマメの入荷量は、12月から漸次増えはじめ、4月(全体の16~18%)、5月(30%強)、6月(30%強)と最高を迎え、その後急速に落ち込みます。4、5、6の3カ月で全体の80%弱を占めますが、これは作型からみると普通栽培にあたります。そして4月は暖地(鹿児島)の独壇場、5月はその主力が中間地帯に移り、6月下旬には冷涼地へと産地が移ってゆきます。10~3月はほぼ鹿児島の独占に近く、これは作型からみると抑制および早熟栽培にあたります。

 ソラマメは乾燥(完熟)種実を殻用、加工用にも用いますが、日本での生産は殆どなく、野菜用が主です。野菜用品種としては、1 早生群(房州早生、伊豆早生、清水早生等)、2 長莢群(金比羅、讃岐長莢、長莢大粒等)、3 大粒群(於多福、武庫一寸、陵西一寸、清水一寸、芭蕉成等)などがあります。早生群は関東地方で、長莢群は四国で、大粒群は関西で成立した品種群です。

 

5.ソラマメの栄養価・機能

1 栄養的特性

 ソラマメの成分は、主としては糖質とタンパク質です。それ故に、昔から体力を養い、気力を充実させる野菜の一つとして活用されてきました。糖質の16.9%の内、70%がデンプンです。そのため、ソラマメはアズキと同様に餡が作られ、和菓子にも利用されています。他にはペクチンやヘミセルロースなどの食物繊維も含まれています。

 一方、ビタミン類ではB1、B2、Cが含まれています。特に、ビタミンB2は、未成熟豆の中では最も多いです。ご存じの様に、ビタミンB2には、子どもの成長促進作用がある他、皮膚や髪の健康を維持するためにも欠かせないビタミンです。髪の毛が心配になりだした貴方、ソラマメと仲良くしては・・・。また、ビタミンB複合体は、体内においてデンプンや糖分、タンパク質や脂肪の燃焼を助ける役割がある上、栄養代謝も良くするので、不要な脂肪を体内に残さない、肥満防止に役立つ、と言う効果もあります。

 また、カルシウムや鉄分などミネラルも豊富に含んでいます。なお、ソラマメの鉄分は、非ヘム鉄と言って吸収され難い鉄分ですが、ビタミンCや動物性タンパク質と一緒にとることによって、消化吸収が良くなります。

 

2 ソラマメの効能

 タンパク質、ビタミン類が多く、胃の働きを整えてくれるので、酒の肴には打ってつけの野菜です。まさに、酒の友、ビールの相棒です。熟したソラマメは皮つきのまま油で揚げて、フライビーンズにしますが、実はソラマメの皮は利尿作用があり、小便の出が悪い時、むくみ(浮腫)の治療に使います。ビールを飲む時にピツタリの肴です。また、ソラマメの薬効には、動脈硬化、高血圧、便秘などがあげられています。これは食物繊維の働きによるところが大きいと考えられます。

 ソラマメを活用し、血圧を下げるようとする時は常食して下さい。市場に旬のソラマメが出回るのは短期間ですが、フリージングなどしておいて、利用することです。食べ方は好みで、塩ゆでにしたものをそのまま食べても、醤油で和風に煮込んだり、クリームやマヨネーズで和えたり、エビなどと一緒に炒めても美味しいです。

 一方、むくみの解消には煎じ液が良いでしょう。これは、新鮮なソラマメよりも完熟種子、それもヒネ物(数年経ったもの)が良いと言われています。ソラマメを一つかみ、水500ccで半量になるまで煎じ、その煮汁を飲みますと、利尿作用で浮腫(むくみ)が引きます。

 また、便秘の解決には皮ごと食べることをお勧めします。普通は皮を剥いて食べますが、かなり便秘がひどい時には、皮ごと食べます。不消化な皮がかえって消化を助ける役目を果たします。朝、一つかみぐらい食べるますと、腸の働きが良くなり、便秘解消に向かいます。ユツクリ出来る日曜の朝などがお勧めです。

 中国ではソラマメの花や茎、葉も薬用に使います。例えば、「止血清熟」(血を止め、のぼせを下げる)の効果があるといわれ、高血圧、喀血(かっけつ)、鼻血、女性のおりものには、ソラマメの花を煎じて飲むと効くとされています。

 なお、漢方では、ソラマメの特性を、四気は温で、五味は苦・微甘とします。すなわち、食べますと身体を温め、苦みはものを固め、消炎作用を示すと共に、心臓の強化に有効と言うのです。一方、甘ものを緩め、脾臓、胃の働きを助けると考えます心臓や胃に自信のない方はどうぞ  と、お勧めしたいですね。

 

 ところで、豆類は新鮮なものほど美味しいことは、よくご存じだと思いますが、特に、ソラマメは「美味しさのは3日間だけ」と言われるほど、その鮮度に美味しさが左右されます。薬用として使う時も、出来るだけ鮮度は大切にしてください。

そら豆(生)
カロリー 124kcal
たんぱく質 12.5g
脂   質 0.2g
糖   質 16.9g
繊   維 0.8g
カルシウム 25mg
リ   ン 250mg
2.7mg
ビタミンA 28(IU)
ビタミンB1 0.35mg
ビタミンB2 0.23mg
ビタミンC 15mg

6.調理・料理

 野菜としてのソラマメを美味しく食べるには、火が通り易いので、加熱し過ぎないことがポイントです。また、塩ゆでにした時、皮がしわになりがちですが、形よく仕上げるには、ちょっと皮を切っておくことです。

 塩ゆで以外にも、未成熟ソラマメは、肉や他の野菜と共に油炒めにして食べる地方もありますし、また淡い塩味でソラマメご飯にすると、エンドウご飯とはひと味違った風味があり、コチラの方が好きだと言う人もいます。

 ソラマメを皮つきのまま、炒め物にする場合、鉄製の鍋やフライパンは避けましょう。ソラマメの種皮含まれるタンニンの一種・フラバール型のロイコアントシアニジンが、鉄イオンによって黒褐色に変色してしまい、見た目にもよくありません。

 一方、殻類としての利用法で代表的なものは、まず甘露煮があげられます。大粒種を使い、形を崩さず、黒光りさせて煮上げるためには独特のコツがあります。乾燥種子をもどす時、水でなく熱湯でもどし、しかもその温度を長時間保つように保温するのが一つのポイントです。

 菓子用としては、はじき豆があります。単に直火で炒って種皮をはじけさせたもの(炒り豆)と、油で揚げてはじけさせたもの(フライビーンズ)とありますが、子実のお尻の部分できれいに種皮が二つに割れるのがよいとされます。中国にはこれに最適の品種もあります。

 また、菓子用のアンにもソラマメが用いられます。赤ソラマメ、小豆ソラマメと言った種皮の赤い品種は黒餡用、他のものは白アン用として使います。小豆アンとはまた違った風味を出すのに重宝がられています。なお、製粉して米や麦と合わせた飯餅も珍しい食物ですし、大豆の代用として味噌や醤油の原料にされたこともあります。

 

 

野菜としてのソラマメ

   ソラマメご飯  ビタミンB複合体活用

シイタケやニンジンなどとの炊き込みご飯

 

ソラマメと豚肉の炒めもの

ニンニク、タマネギなどアリシンを含む野菜を活用

 

   皮つきソラマメの甘露煮 高血圧対応で作り置き出来るもの

     ゴボウやコンブなどとの甘露煮

 

 

7.ミニ情報

 ソラマメは、昔は油であげたり、茹でたりした塩味をつけて、子供のおやつにしましたが、今では酒席でビールやウイスキーのおつまみ(フライビーンズ)として重宝がられています。

 ソラマメやエンドウマメが、スナックとしてお酒の好きな人たちに愛されているのは、理に合っているといえます。なぜなら、東洋医学の「五色」の理論から言えば、ソラマメやエンドウマメの青は肝臓機能を強化するからです。お酒を飲まない日という意味で「休肝日」という言葉が一般化したくらい、お酒が肝臓に及ぼす悪影響はよく知られるところです。その点、ソラマメやエンドウを口にしながらだと、その心配も少なくてすむわけです。

 それは東洋医学の「五色の理論」に因ります。すなわち、色が生命に及ぼす影響は、古来の東洋医学では「五色の理論」として明確に示されています。つまり、赤は心臓、青は肝臓、黄は膵臓、白は胚臓、黒は腎臓であり、それぞれの色が各臓器の機能を高め、活性化するというのです。この考えは、何千年にもわたる臨床経験の中から生まれたものだけに重みがあります。

 その意味から、豆の天然色素と生命活動には密接な関係があるとされています。アズキ(赤)、ソラマメ・エンドウ(青)、ダイズ(黄)、インゲンマメ(白)、黒豆(黒)など、それぞれの色の豆を食べて、自分自身の弱った内臓を強化し、活性化をはかってみてはいかがでしょうか。特に、お酒に浸りきりのお父さん、ソラマメやエンドウを食べて、少しは気を休めませんか。

 

2 ピタゴラス殺しの犯人はソラマメ

 ソラマメに独特の物質が含まれ、俗にいうソラマメ病を引きおこすことは古代ギリシャ・ローマ時代から恐れられています。かつてソラマメを食べることをタブーとした習慣が地中海地方はありました。

 植物はいろいろな生理活性物質を含みますが、ソラマメ病に見られるように、時には人間に害を及ぼす物質も含まれています。それを有害物質といいます。マメ科植物には有害物質を含むものが多く、百以上の有害物質があると指摘する学者もるくらいです。

 なぜこれほど多くの有害物質が植物に含まれているかといえば、それは、動物や昆虫に果実や種子を食べられないようにするためばかりでなく、微生物などによる加害からも自らを守る自衛手段なのです。

 

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注 このホームページは、故相馬暁博士が北海道立中央農業試験場長在任中に作成したものです。
レイアウトを除き、当時のままとし、本文の訂正はしていません。
 従いまして、内容等に関するお答えはできかねることをご了承ください。