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健康な子牛をつくるための初乳給与 (黒毛和種牛の初乳成分と子牛への初乳給与法)
北海道立畜産試験場 畜産工学部 感染予防科 家畜生産部 育種科 肉牛飼養科 |
1.ねらい
子牛の疾病予防には、出生直後の適切な初乳給与により子牛へ十分な免疫を賦与することが重要であるが、特に黒毛和種牛では初乳についての情報は少なく、子牛への初乳給与法は十分に確立されていない。そこで、黒毛和種牛について、初乳成分と子牛への初乳給与法について検討し、黒毛和種子牛への初乳給与プログラムを提示する。
2.試験の方法
1)黒毛和種牛の初乳成分
黒毛和種牛初乳の乳量・乳成分を調査し、ホルスタイン種牛の初乳と比較した。
2)黒毛和種子牛への初乳給与法と免疫グロブリンG1 (IgG1) の移行
黒毛和種子牛の初乳摂取量を調査し、初乳給与までの時間や給与方法の違いが子牛へのIgG1移行に及ぼす影響を検討した。
3)黒毛和種子牛への初乳給与プログラム
黒毛和種子牛生産農場における初乳給与プログラムと子牛へのIgG1移行の実態を調査し、黒毛和種子牛への初乳給与プログラムを作成した。
3.成果の概要
1)黒毛和種牛の初乳成分
黒毛和種牛の初乳はホルスタイン牛と比較して乳量は少ないがIgG1濃度が高く、子牛への免疫賦与の効果が高かった(表1)。
2)黒毛和種子牛への初乳給与法とIgG1の移行
黒毛和種子牛は生時体重の約10%の初乳を自力哺乳できた。出生後6時間以内にホルスタイン種牛凍結初乳1.5リットルを子牛に給与すると、子牛血中へ移行する免疫グロブリン量やIgG1の吸収率に差はなかった(表2)。
3)黒毛和種子牛への初乳給与プログラム
初乳製剤だけの給与あるいはホルスタイン種凍結初乳1リットルの給与では子牛血清中IgG1濃度は低く、黒毛和種牛の母乳を給与することにより、子牛へのIgG移行量が著しく上昇した(図1)。黒毛和種子牛への初乳給与プログラムは、少なくとも生後6時間、できれば24時間は母牛から自然哺乳させ、乳量が少ないと思われるときは、ホルスタイン種牛の凍結初乳または初乳製剤を追加給与するとよいと考えられた。また、ET子牛の場合は生後6時間以内にホルスタイン種初乳を体重の10%を目安に2〜3リットル給与する。
以上の成績より、黒毛和種牛の初乳成分と子牛への初乳給与量と給与までの時間などが明らかになり、黒毛和種子牛への初乳給与プログラムを提示した(図2、図3)。
表1 黒毛和種牛とホルスタイン種牛の初乳成分の比較
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黒毛和種1) |
ホルスタイン種2) |
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乳量 (kg) |
1.3±0.7 |
9.9±4.5 |
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乳脂肪 (%) |
5.1±2.4 |
6.2±2.4 |
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無脂固形分 (%) |
19.6±1.8 |
17.1±2.9 |
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蛋白質 (%) |
16.7±2.0 |
13.7±3.4 |
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IgG1 (mg/ml) |
160.1±52.2 |
73.1±27.9 |
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乳糖 (%) |
2.0±0.5 |
2.4±0.7 |
1) 黒毛和種 経産牛14頭 2) ホルスタイン種 経産牛35頭
表2 生後2日目の子牛血清中免疫グロブリン濃度の比較
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処理1) |
IgG1摂取量(g) |
IgG1 (mg/ml) |
IgG1吸収率2) (%) |
IgG2 (mg/ml) |
IgA (mg/ml) |
IgM (mg/ml) |
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A (1h) n=5 |
91.9±29.5 |
12.0±5.5 |
29.9±8.7 |
1.9±0.8 |
1.5±1.1 |
1.3±0.7 |
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B (3h) n=5 |
110.0±33.9 |
12.1±3.2 |
27.8±5.1 |
2.1±0.3 |
1.4±0.5 |
1.1±0.4 |
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C (6h) n=5 |
102.2±28.7 |
15.1±6.8 |
34.2±12.2 |
2.3±1.1 |
1.6±1.1 |
1.0±0.5 |
1) 初乳給与までの時間はA群 生後1時間、B群 生後3時間、C群 生後6時間とした
2) IgG1吸収率(%)=子牛血清中IgG1濃度(mg/ml) ×総血清量(L)÷IgG1摂取量(g)×100
図1 初乳給与プログラムと子牛の血清中IgG1濃度
図2 黒毛和種子牛への初乳給与プログラム 図3 黒毛和種ET子牛への初乳給与プログラム
詳しい内容については次にお問い合わせください
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